繁殖リタイア犬はづき~みにしば.愛のカタチ~

繁殖リタイア犬はづき~みにしば.愛のカタチ~

「知らない」は「怖い」

手を差し伸べられたら怖い
風に舞う木の葉が怖い
四角い狭いゲージの外はぜんぶ怖い

「知らない」は「怖い」

我が家で初めて飼った犬
ティーカッププードルのはづき。

 

立秋。

某年8月8日8歳で
うちの子になった
メスの保護犬。

はづきのこと 


はづきは
四角い檻から出たことがない。
小さな体
流行りの高価な犬種
繁殖専門でひたすら
産まされ続けた。
そして高齢犬になって
お払い箱にされたのだ。

 

狭いゲージの
巣穴のようなハウスで
一日中、外を伺ってた。
エサと排泄は
誰もいなくなってからしか
しなかった。

犬なのに

犬なのに
「散歩」も知らなかった。
リードの重みに
雨という滴が当たる感覚に
風という柔らかな空気の壁に
パニックを起こした。

差し伸べられた手に噛みついた。
抱きしめられる時も
小刻みに震えた。
白く濁った目のせいかもしれない。

 

ほんとうのはづき

 

だから

ずっと

ずっと

抱きしめていた。

私の腕の中が
温かい安心領域になるように。

そしたら
本当はおばあさんなのに
幼子が必死で後追いするように
私の後ばかり
ついて回るようになった。

 

ちいさなリーダー

二頭目のラスタ(ダックス)が来たら
急にお姉さんぶるようになった。

三頭目のリリー(Gレトリバー)が来たら
ボスっぽくなった。
はずきのお陰で、家族は群れになった。

繁殖犬の
生い立ちから
もともと長生きはできないと
覚悟していた。

はづきは13歳で
亡くなった。
私の腕の中で
家族みんなに看取られて冷たくなった。

ずっと一緒

あれから4年
思い出の中の
小さなはづきは
今も
ずっと
温かい。

ちょうど
家族に災いが訪れた
晩秋
家の中の邪気を
すべて引き受けるように
亡くなったはづき。

私が愛したはづき。

幼い頃から
犬を飼うのに憧れた
私のはじめての愛犬の話。